(12日、高校野球 本間篤史さんレジェンド始球式)
甲子園、レジェンドが連日始球式 開幕には松井秀喜さん
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大きく振りかぶり、右ひざをぐっと曲げて、腕を振った。ワンバウンドしたが、人さし指を立てて天にかざす、駒大苫小牧の「ナンバーワンポーズ」を決めた。
「振りかぶり方は将大(田中=現ヤンキース)、フォームは(ハンカチ王子と呼ばれた)斎藤(佑樹=現日本ハム)。みなさんは2人を見たかったと思うんですが。同世代の分まで思いを込めた」。投球後はハンカチを取り出し、汗を拭いてみせた。前日、斎藤に「投げ方をまねするね」と連絡したら、「ハンカチでしょ」と返された。急いで甲子園の売店で購入した。
駒大苫小牧の1年時は甲子園でボールボーイを務めた。先輩たちが成し遂げた北海道勢初優勝に「同じチームにいる気がしなかった。すげえ、とファンのようでした」。翌年夏は4番中堅手として、史上6校目の2連覇に貢献した。
3年時は夏へ向けて、田中の負担を減らすため主将を代わった。高校生活で3度目の夏の決勝は、早稲田実(西東京)と対戦。1―1の延長十五回2死、斎藤が投げた初球の147キロの直球に舌を出した。最後はフォークで三振。結局、再試合を含めた2試合で、計11打席で8打数無安打、2四死球、1犠打。3連覇はならなかった。
いまでもそのときの教訓がある。「僕の場合、欲を出したらダメなんです。最後の夏だからと、どこかでホームランを打ちたい気持ちがあった。でも結局、甲子園では1本も打てなかった。もっとチームバッティングに徹していれば、優勝できたかもしれない」
その後は亜大、JR北海道でプレーし、昨年引退した。
悔しさの一方で、仲間と過ごした濃密な時間は宝物になっている。「どのチームにも中心選手はいるが僕らの場合は将大。でも野球は1人ではできない。助け合いながら戦った。グラウンドに出たら、当時の熱気を思い出した。甲子園っていいですね」
始球式のあと、報道で本間さんのパフォーマンスを知った田中は自身のツイッターで「笑ったわ」とコメントした。(坂名信行)