リオデジャネイロ五輪体操女子代表の宮川紗江選手への暴力行為を理由に、日本体操協会から無期限の登録抹消処分を受け、これを受け入れた速見佑斗コーチが5日、東京都内で謝罪会見を開いた。
会見の冒頭で速見氏は「宮川選手に対する度重なる暴力行為によって、宮川選手はもちろん、周りにいた選手やコーチに対して、不快な思いと恐怖を与えてしまったことを深くお詫び申し上げます」と述べ、深々と頭を下げた。
また日本体操協会やすべての体操関係者、そして国民に向け、「ご迷惑をおかけし、不快な思いをさせてしまったことを深くお詫びしたい」とも話した。
速見氏は、宮川選手に対して、頰を平手でたたいたり、髪の毛をひっぱったり、お尻を蹴ったりする暴力を振るっていたことを認めた。いったん処分取り下げを申請しながら、処分を受け入れたことについては、「今の時代において暴力行為はどういう理由であれ、決して許されることではないと、今、深く実感しています。よって日本体操協会より受けた処分については、真摯に受け止めたい」とし、「私が何をやるべきかや、今回の件について私自身が反省すべき点をしっかりと考えたい。今後はいっさい暴力をしないことをここに誓います」と話した。
指導者になって9年目だという速見氏は「最初のころは(選手の体が)危険を伴う場面では、たたいてでも教えるのが重要だと思っていた」という。しかし「ここ数年は(暴力は)良くないと分かっていながらも、我慢できずにたたいてしまったこともある」と明かした。そして、自身が選手だった幼少期に「ほっぺたをたたかれたりする指導を受けていた。(その際)『教えてもらった』という感謝の気持ちを持っていて、そういう感覚が自分の根底にあった」と述べた。
8月15日に処分を受けた速見氏は当初、処分無効を訴えて東京地裁に仮処分を申し立てていたが、同31日になって申し立てを取り下げ、処分を受け入れると発表した。その際、速見氏は文書でコメントを発表し、「全面的に受け入れ反省し、一刻も早く正々堂々と指導復帰を果たすことこそが選手ファーストだという結論に至った」と取り下げの理由を説明していた。