高校野球の秋季大阪府大会で15日、今年の甲子園を春夏連覇した大阪桐蔭の新チームが初戦を迎えた。来春の選抜大会につながる大会の1回戦で、堺工科を17―0(五回コールド)で下し、2回戦に進んだ。
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3本の本塁打が飛び出し、17得点。守っては3投手が被安打1の零封リレー。数字では圧倒したが、新主将を任された中野波来(はる、2年)の口からは反省の弁が出た。「相手の投手の変化球を振り切れなかった。まだまだ細かい部分が徹底できていない」
立ち上がりは相手を攻めあぐねた。一回に3番西野力矢(1年)の先制2ランで主導権を握ったものの、後ろが続かない。二回は三者凡退。西谷浩一監督も「打たされている部分が多く、自分たちの打撃ができていない。まだまだ経験がない子たちがほとんど。課題がたくさん残ったゲーム」。とはいえ三回には、西野のこの試合2本目となる満塁本塁打が出るなど13得点し、打線は破壊力をみせた。
「最強世代」と呼ばれて勝ち進んだ今夏の甲子園でベンチ入りしたのは、中野と宮本涼太(2年)の2人だけ。全国制覇を経験した中野も、自分たちの未熟さを理解している。国体に向けた準備をしながら練習を手伝ってくれる3年生から、「そんなんじゃ勝てないよ」としょっちゅう発破をかけられているという。
夏の頂点に立ってから約3週間。全国で最も本格的な始動が遅かった新チームは、西谷監督が「突貫工事をやっている最中」という状態だ。中川卓也、藤原恭大、根尾昂ら2年から主力だった選手が多かった前のチームと比べることは、「酷ですね」と言う。
それでも、前人未到の春の選抜3連覇、そして3季連続優勝に向けて走り出した大阪桐蔭。「とにかく勝つことだけ。来年につなげたい」と西谷監督。中野も「大阪、近畿を勝ちきって来年の春につなげるのが今の目標。もっと向上していきたい」と語気を強める。その表情は最後まで緩まなかった。(小俣勇貴)