整列後、高岡商の左腕、山田龍聖(3年)は苦笑いを浮かべた。「甲子園で負けた相手とやりたかった」。福井国体、済美との1回戦。2―2の九回、1死一、三塁から犠飛を許し、力尽きた。
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夏の王者への挑戦権をかけた試合だった。甲子園の3回戦で大阪桐蔭とぶつかり、1―3で敗れたものの、11三振を奪った。その後に選ばれた高校日本代表では、柿木蓮や根尾昂らとともにU18(18歳以下)アジア選手権大会を戦った。
約3週間の代表生活で感じたものは、他の投手の総合力の高さだった。「ボールの質も違うけど、それ以前にフィールディングや牽制(けんせい)がすごかった。自分はまだまだだなと感じた」
そう教えてくれた仲間と再会し、「もう一回(試合を)やろうな」と誓い合っていた。13個の三振を奪う力投を見せたが、約束は果たせなかった。
「やっぱり悔しさがあります」。本音を漏らした後、少し表情を緩めて言った。「負けてしまったんで、あいつらを応援しようと思います」。野球は社会人のJR東日本で続ける。その先に、また仲間として戦える日を夢に見ている。(小俣勇貴)