(6日、福井国体 陸上成年男子100メートル)
9秒台への期待は、強風に吹き飛ばされた。
台風の接近で、午前の予選から吹いていた向かい風は、夕方の決勝前、さらに強くなった。
「準決勝はスタートから何歩目かで体が浮き上がり、風のあおりを受けた。低く出よう」と山県。
決勝では修正し、序盤から体一つ、二つと前に出たが、向かい風は5・2メートル。「押し戻される感じ。スピードに乗っている感じはなかった」。10秒58の数字に苦笑いするしかなかった。
日本人2人目の9秒台へ。「自分自身、期待していた」という国体だった。
6月の日本選手権を10秒05の大会タイ記録で制すと、8月のジャカルタアジア大会では10秒00で銅メダル。9月の全日本実業団では無風の中、10秒01で3連覇。「地力がついている」という手応えがあるからだ。
今季、個人種目で100メートルを走るのはこれが最後。「今年中に9秒台を出したかったのはある」と言いながらも、表情は明るい。
「体を強くして、今の技術と組み合わせていけるように。来年、再来年と、(9秒台を)出すチャンスはまだまだある」。そう言える自信を手にした2018年だった。(山口史朗)
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男子100メートル2位の小池祐貴(ANA) アジア大会200メートル優勝者も山県と0秒13差の完敗。「もっと風が荒れれば順位が上がるかもと思ったが。まだ挑戦できるレベルじゃない」