昨夏以降、スポーツ関連のテレビ番組やニュースに引っ張りだこだった15歳の「野球女子」がいる。
島野愛友利(あゆり)さん。大阪の硬式野球チーム、大淀ボーイズで男子との競争に勝ち、背番号「1」を勝ち取ると、中学硬式野球の最高峰と言われる8月のジャイアンツカップで優勝投手になった。
最速は124キロで変化の大きいカーブも武器。「日本一チームのエースが女の子」と話題になり、島野さんは授業の合間を縫って多くのメディアの取材を受けた。番組の企画でプロ野球選手と対戦もした。
「有名になったり、タレントになったりしたいわけじゃない」と島野さん。それでも、メディアへの出演を続けたのには理由がある。
「女子野球の価値を高めたい」からだ。
この春、女子硬式野球の強豪・神戸弘陵高の女子野球部に入った。男子の「甲子園」への思いは当然あった。五つ上の兄は大阪桐蔭高で甲子園出場。一つ上の兄もこの春の選抜大会に出た履正社高(大阪)の野球部員だ。だが、女子は男子の公式戦には出られないため、女子野球を選んだ。
神戸弘陵高は今月2日、埼玉県加須市であった全国女子選抜大会で2連覇した。しかし、話題となるのは同時期に開かれた「春の甲子園」ばかり。島野さんは「女子にも甲子園のような大会がほしい」と願う。
中学野球の人口が少子化の8倍…