ロシアのプーチン大統領と米国のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は23日、モスクワで会談し、プーチン氏とトランプ米大統領の首脳会談を来月11日にパリで行うことで基本的に合意した。関係が悪化する両国の首脳会談は7月以来。トランプ氏の中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱表明で亀裂は拡大しており、両国が修復の糸口を見つけられるかが焦点になる。
パリではフランス政府が主催する第1次世界大戦終結100年の記念行事にトランプ氏が出席を予定しており、プーチン氏がその機会を利用して首脳会談を行うことを提案。ボルトン氏も「国益をめぐる相違があっても、会って一致点を探ることが重要だ」と述べ、同意する意向を表明した。
両首脳はヘルシンキで行われた7月の会談で、安全保障をめぐる戦略対話を両国間の主要課題とすることで一致した。しかし、トランプ氏は20日、そのテーマの一つに挙げられていたINF全廃条約から一方的な離脱を表明。プーチン氏は23日のボルトン氏との会談で、米国がブッシュ政権時代の2002年に弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からも離脱したことを挙げ、米国の一方的な行動を批判した。
ボルトン氏は会談後、モスクワ市内で単独で記者会見を開き、ロシアが長年にわたってINF全廃条約に違反するミサイル開発を続けていると批判。さらに「中国が保有するミサイルの3分の1から半数が本来なら条約違反にあたるものだ」とし、事実上米ロの2国だけが対象の同条約が「新しい戦略的現実に対応していない」と主張した。
トランプ氏は23日、米ホワイトハウスで記者団に対し、プーチン氏との首脳会談について「何かしら良い結果が生まれると思う。(首脳会談は)まだセットされていないが、たぶん実現するだろう」と述べた。(モスクワ=喜田尚、ワシントン=園田耕司)