プロ野球の新人選手選択(ドラフト)会議が25日に開かれる。注目の選手を紹介する。
根尾「人生の大事な日」 運命の日を待つ大阪桐蔭4選手
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高校生
例年にも増して輝く逸材がいる。高校生で最も注目が集まるのは、大阪桐蔭の根尾昂だ。
俊足強打の左打者として、今夏の甲子園では3本塁打をマーク。投げては最速150キロ。2度の選抜優勝、そして全国制覇の原動力となった。9月のU18(18歳以下)アジア選手権に出場した高校日本代表でも中心にいた。
身長177センチ体重78キロと大柄とは言えないが、身体能力は抜群に高く、遊撃、外野、投手をこなす。プロでも挑む可能性のある投打の「二刀流」については、「どこを守っても、そのチームの勝利に貢献したい」と語る。この謙虚、かつ真摯(しんし)に野球に取り組む姿勢も評価される。地元の岐阜が本拠と近い中日などが1位指名を公言し、数球団での競合になる。
能力の高さなら、大阪桐蔭の藤原恭大と報徳学園(兵庫)の小園海斗も負けていない。ともに2年生から高校日本代表の上位打線を任された左打者だ。外野手の藤原は今夏の甲子園で根尾と並ぶ3本塁打。パンチ力も光るが、最大の武器は50メートル5秒7の脚力だ。遊撃手の小園は強い足腰を生かした守備力の高さが持ち味。打撃でも高い対応力を持ち合わせている。
投手では、金足農(秋田)の右腕吉田輝星の完成度が高い。空振りを奪える最速152キロの直球だけでなく、フィールディングやクイックの技術も輝く。浦和学院(埼玉)の右腕渡辺勇太朗は、190センチの長身から多彩な変化球を操る。明徳義塾(高知)の市川悠太は、右横手の先発タイプとして育てれば、プロでも面白い存在になりそう。最速151キロ右腕の大阪桐蔭・柿木蓮も上位候補に入る。
高校日本代表には選ばれなかったが、上位指名にかなう選手はいる。花咲徳栄(埼玉)の野村佑希は右の強打者として評価も高い。投手では、日大鶴ケ丘(東京)の右腕勝又温史。直球の最速は150キロを超え、将来が楽しみだ。天理(奈良)の遊撃手・太田椋も右打者として伸びしろに期待できる。(小俣勇貴)
大学・社会人
1チームから3人の1位指名があるか――。25日に控えたプロ野球ドラフト会議の大学・社会人選手では東洋大の先発の上茶谷大河、梅津晃大と抑えの甲斐野央の3右腕に注目だ。
3人とも身長180センチ以上の体格から、150キロ超の球を投げる速球派。高校時代に目立った活躍はなかったが、大学で大きく成長した。近年では、1チームから3人が1位指名を受けたのは2010年の早大の斎藤佑樹(日本ハム)、大石達也(西武)、福井優也(広島)。このほか1996年の青学大の井口忠仁(資仁・ダイエー)、清水将海(ロッテ)、沢崎俊和(広島)などの例がある。
日体大の右腕松本航の評価も高い。キレのある直球に加え、不調時でも変化球を上手に使って打者を打ち取れる。同じ日体大の東妻勇輔も150キロ超の右腕だ。
試合をつくれる投手として、国学院大の清水昇もスカウトの間で名前が挙がる。好左腕の早大の小島和哉、八戸学院大の高橋優貴、富士大の鈴木翔天も上位指名をうかがう。
野手でトップの評価を受けるのが立命大の辰己涼介。俊足好打の外野手で、3年連続で選ばれた大学日本代表で今年は主将も務めた好素材だ。
即戦力が求められる社会人の指名は、投手が多くなりそう。最速155キロの球が魅力なのは日本通運の生田目(なばため)翼。流通経大時代の2年前に指名漏れした悔しさをバネに成長を続けてきた。ホンダの斎藤友貴哉は微妙に変化する直球にスプリットを投げ、安定感がある。潜在能力の高さでは三菱重工広島の杉山一樹。JR西日本の補強選手で出場した今夏の都市対抗では150キロ超の球がスカウトの目を引いた。野手では大阪ガスの近本光司が高評価。身長170センチと小柄だが、都市対抗で5番中堅手として優勝に貢献。打率5割2分4厘で最優秀選手にあたる橋戸賞を獲得した。(坂名信行)