陸上男子100メートルで今季、自己記録タイの10秒00をマークした山県亮太(セイコー)が、冬季に米フロリダ州でトレーニングを積むことになった。桐生祥秀(日本生命)に続く日本選手2人目の9秒台や、来秋のドーハ世界選手権に向けて「環境を変えてチャレンジしたい」と意気込んでいる。
山県が合宿するのは、米フロリダ州にある選手養成施設「IMGアカデミー」。スポーツマネジメント会社IMGが経営し、テニスの錦織圭やゴルフの宮里美香も鍛えた場所だ。山県は12月に渡米して施設を視察し、来年2月から約1カ月間合宿をする予定だ。
「外に出て、新しい技術に触れることで何か得ることがきっとある。目標である9秒8台に少しでも近づくために、1年1年進化していかないといけない」。山県は抱負を語った。
今年は8月のジャカルタ・アジア大会の100メートルで10秒00の自己記録タイをマークして銅メダルを獲得。9月の全日本実業団でも10秒01で優勝するなど、念願の9秒台は出なかったが、高いレベルで安定した力を発揮した。山県は米国合宿に向けて「自分が積み上げてきたことで結果が出たという自信もある。これまでのものを大事にしながら、コンディショニングなどで収穫があればいいと思う」と話している。
来季は4月のドーハ・アジア選手権が最初の目標となる。「世界選手権の開催地でもあるので会場の雰囲気をつかみたい。自己記録も早いうちに更新したいので、緊張感のあるアジア選手権は大事な試合になる」。
6日には、所属するセイコーホールディングスの服部真二会長が設立した財団から表彰された。財団の評議員を務める王貞治ソフトバンクホークス会長から「100メートルはミスの許されない競技。スポーツマンとして求められるすべてを追いかけて自分を高めようとする日頃の努力に頭が下がります」と言葉をかけられ、山県も「王さんから表彰されてうれしいです。9秒台や、もっとその先の世界に行けるように頑張っていきたい」と答えていた。(堀川貴弘)