暗く、長いトンネルを抜けだしつつある。柔道男子100キロ超級の原沢久喜(26)が3年ぶりに国際大会で優勝した。所属していた日本中央競馬会(JRA)をやめ、自ら安定を捨てて2020年東京五輪をめざす。低迷していた日本の最重量級にも、久々に明るい兆しが見えてきた。
原沢は10日にグランドスラム(GS)パリで準優勝すると、24日にはGSデュッセルドルフを制覇した。減量がない100キロ超級とはいえ、約2週間で2大会に出場する強行日程で見事に結果を残した。国際大会は16年2月のGSパリ以来の優勝だ。「3年もたっていたことに自分もびっくりした」。26日、帰国した成田空港で、つきものが落ちたような笑顔で声を弾ませた。
決勝でリネール(仏)に敗れた16年リオデジャネイロ五輪の後は、極度の不振が続いた。17年の全日本選手権では、絞め技を受けて畳の上で失神。五輪銀メダリストが絞め落とされた姿は衝撃的だった。続く世界選手権でも初戦負けの屈辱を味わうと、今度は体に異変が出た。心拍数が異常に上昇。疲れが抜けなくなり、「オーバートレーニング症候群」の診断を受けた。
休養や食事療法で徐々に回復し…