いまの離脱協定案を認めないのなら、離脱方針の見直しか、合意なき離脱か――。29日に予定された英国の欧州連合(EU)からの離脱まで約1週間と迫った21日、EU首脳会議は離脱日の延期を認めるとともに、英国に速やかな決断を迫った。決められない英国にEUが突きつけた最後通告だ。
ブレグジットとは? もっと詳しく知る記事、5本ナビ
議論は予定を大幅に超え、約7時間に及んだ。
21日夜(日本時間22日朝)、EU首脳会議の初日の日程を終え、記者会見に臨んだEUのトゥスク首脳会議常任議長(大統領に相当)の表情は明るかった。
「まだいくつかの選択肢を残すことができ、とても満足している。会議が始まる前は悲観していたが、いまは楽観的だ」
29日に英国とEUの間で取り決めがないまま「合意なき離脱」に陥る事態は、4月12日までは先送りされた。選択肢を残せば、英国は社会に混乱を巻き起こす事態は避けるはず――。トゥスク氏の「楽観」にはかすかな願いがこもる。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、首脳会議では煮え切らない英国をめぐり、フランスのマクロン大統領と、ドイツのメルケル首相が対立。予定通り3月29日に離脱するべきだと主張するマクロン氏に対し、メルケル氏は、英国と激しく決裂すれば後世に厳しく裁かれる、とたしなめたという。メルケル氏は会議後、記者団に語った。
「私たちはメイ首相を助けたか…