(25日、選抜高校野球 龍谷大平安2―0津田学園)
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延長十一回1死二塁。敬遠で歩かされた龍谷大平安の水谷が打席に向かう奥村に声を掛けた。
「いいスタートを切って併殺は阻止する。だから思い切って振れ」
ここまで津田学園のエース前に散発3安打に抑えられていた。やっとつかんだ1死一、二塁の好機。「(足で)助けてくれる。気が楽になった」と奥村。バットを長く持ち、「しっかり振ろう」と心を決めた。
カウント2―2からの5球目。ヒットエンドランを仕掛けた。奥村は外角直球をファウル。「ここまで自分には直球が多い」と感じていた。さらに「足」を見せたことで、変化球を投げにくい状況をつくった。直球一本に狙いを定めた。
フルカウントからの8球目。内角高めの134キロの直球を強振した。「ちょっと詰まったけど、振り切ったから、あそこまで飛んでくれた」。左越えの先制適時二塁打。走者と打者の連係でスコアボードに「1」をともした。さらに1点を追加し、勝利を引き寄せた。
選抜大会最多の41回目出場の伝統校。そつのない野球は脈々と受け継がれる。昨夏の甲子園1回戦では水谷の二盗、三盗を得点に結びつけ、チームの春夏通算100勝を達成。そして、この日の白星は、京都勢の選抜大会80勝と春夏通算200勝の節目となった。
奥村は言う。「先輩たちが(白星を)積み上げてきた。平安は勝利数も多い。みんなで200勝しようと言っていた」。伝統が背中を押した一振りで、新たな歴史をまた一つ刻んだ。(鷹見正之)
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○原田監督(龍) 京都勢として春夏200勝に到達。「区切りに学校の名前がのることはうれしい。守備も無失策でよく持ちこたえた。100点です」
▼京都勢、春夏200勝 龍谷大平安が25日の1回戦で津田学園(三重)に勝ち、京都勢の選抜通算80勝目を挙げた。夏の全国選手権(通算120勝)と合わせて到達した。龍谷大平安はうち102勝を記録。都道府県の春夏通算勝利数では、大阪(375勝)、兵庫(305勝)、東京(302勝)、和歌山(220勝)、広島(208勝)、神奈川(202勝)に次ぐ7番目。