(8日、高校野球京都大会 龍谷大平安7―0花園)
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一回裏、花園の1番打者で捕手の高田賢三主将が打席へ。4球目を振り抜くと遊ゴロに。俊足でギリギリのタイミングだったが、アウト。悔しさをにじませた。
高田君は、3歳上で今は大学3年の兄、吟史(ぎんじ)さん(20)の背中を追いかけてきた。兄も花園出身。1番打者、捕手、主将すべて同じだ。野球を始めたのも兄の影響だった。小学1年のとき、どんどんうまくなる兄を見て「ぼくもやってみたい」と思った。
主将は昨秋、選手の投票で決まった。高田君は圧倒的な票を得て選ばれた。
副主将の牧野光海(ひう)君は「人を巻き込む力がある」と評する。兄も指導した小瀬(こせ)博孝監督は「兄はプレーで引っ張るタイプ、弟はまじめ。弟はちょっと不器用だけど、だれよりも一生懸命で声を出す」と話す。
主将をやりたかったが、やってみると難しい。兄に相談すると、「自分が先頭に立って行動すれば、少しずつ周りもついてくる。その人数を増やしていけばいいよ」と助言してくれた。実行すると、少しずつうまく回り始めた。
6日の開会式では、約3千人の観客が見守るなかで選手宣誓した。初戦の相手は昨年優勝の龍谷大平安で、2度目の大舞台だ。春の府大会2次戦では七回コールド負けしており、「やり返したい」と気持ちを盛り上げてきた。
この日は本塁から声を出し続け、点差が開いても気持ちを切らさなかった。
試合後、悔しがりながらも、「点差が開いてもみんな攻める気持ちをもち続けたし、このメンバーでできてよかった。目標になってくれ、応援してくれた兄に感謝したい」と高田君。応援席で見守った兄は「技術面も精神面でも賢三は成長した。『主将としてもよく引っ張った』と言ってやりたい」とたたえた。(紙谷あかり)