甘利明経済財政・再生相は30日、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受けて開かれた、日本経済新聞社主催の緊急シンポジウムで講演した。甘利経財相は11月中にTPP対策大綱をまとめると表明した上で、TPPの活用で「『攻めの農林水産業』に転換し、意欲ある生産者が安心して再生産に取り組める、若い人が夢を持てる、成長産業へと変えていく」と強調した。
講演する甘利明経財相(30日午後、東京・大手町)
国内対策では中堅・中小企業のほか、多分野・地域での生産性向上や産業活性化、農林水産物の重要品目を巡る国民の不安払拭に向けた施策を講じると説明。今後について「我が国経済の更なる成長と、全国津々浦々の地方経済の活性化に確実につなげていくため、政府一体となって取り組んでいく」と話した。大筋合意の内容については、重要農産物5品目を中心に「関税撤廃の例外を数多く確保するほか、国家貿易制度を堅持し、関税割当やセーフガードといった有効な措置を認めさせるなど交渉結果として最善のものになった」との考えを示した。
TPPのメリットについて「我が国はもちろんのこと、アジア太平洋地域全体の未来の繁栄を約束する枠組みだ」と説明。関税撤廃をはじめ、サービスや投資、知的財産や国有企業などの幅広い分野で「21世紀型の新しい貿易・投資ルールを構築し、アジア太平洋にヒトとモノ、資本と情報すべてが自由に行き交う経済圏が誕生する」と述べた。「日EU経済連携協定や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など他の経済連携交渉に大きな弾みをつけるもの」とも指摘。「TPPは拡大していく。12カ国では終わらない」と述べ、加盟国拡大にも期待感を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕