【ジュネーブ=原克彦】ビール世界4位のカールスバーグ(デンマーク)は11日、事務職で2千人を削減すると発表した。重要な営業基盤であるロシアでの事業が米欧による経済制裁の影響などで苦戦し、7~9月期の最終損益は44億デンマーククローネ(約787億円)の赤字(前年同期は22億デンマーククローネの黒字)に転落した。経済減速が響く中国でも工場の閉鎖を検討する。
不振事業の減損処理と事業再構築のために、2017年までに100億デンマーククローネの費用を計上する。16年3月までに経営改善計画を公表することも明らかにした。
同社はロシア最大手のビール会社を傘下に持つが、同国での酒販規制の強化やウクライナ問題を背景とする景気悪化の余波を受け過去2年で売り上げが急に減速。中国をはじめとするアジア事業が業績の悪化を補う構図だったが、今夏は中国でも苦戦した。中国では特に東部での販売が落ち込んでおり、地区を限定して事業を縮小することも視野に入れている。
11日には業界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)が2位の英SABミラーを710億ポンド(約13兆円)で買収すると正式に決定。6月にオランダの乳業大手トップからカールスバーグの最高経営責任者(CEO)に就任したケース・トゥハート氏は同日のロイター通信とのインタビューで、大型買収よりも経営健全化を優先する意向を示した。