近畿大学は13日、研究分野で協力している牧原養鰻(ようまん、鹿児島県東串良町)と共同で、ウナギの味がするナマズの事業化に乗り出すと発表した。牧原養鰻が中心となって養殖の新会社を設立。近大農学部で養殖を研究する有路昌彦准教授らがノウハウを提供し、量産化を目指す。来年夏に100トンのナマズをかば焼き業者向けなどに出荷する計画だ。
ナマズは餌の種類を工夫したうえで、養殖池にきれいな地下水を使うと特有の泥臭さが抑えられ、ウナギに近い味になるという。牧原養鰻などは8月、資本金5000万円で「日本なまず生産」(鹿児島県東串良町)を設立し、取締役として有路准教授を迎えた。
新会社はナマズやコイなどの淡水魚を養殖する各地の業者と連携。飼育ノウハウを教えるほか、稚魚を供給する。800グラム程度まで育ったところで買い上げて、専門の業者や商社、量販店へ販売する。1キログラムあたり1000円以下で供給する方針だ。
ウナギは養殖に使う天然の稚魚(シラスウナギ)が減り、価格が上昇している。ナマズを活用することで比較的安い価格で消費者へ届けられるほか、稚魚の減少で稼働率が低下しているウナギ養殖施設の有効活用にもつながるとみている。13日開いた記者会見で有路准教授は「ナマズは小骨が少なく中性脂肪も少なくて健康的。普段食べる食品として普及を目指したい」と話した。