プロ15年目で球宴に初選出された西武の栗山
■スコアの余白
直球だけの真っ向勝負や、柵越えしか狙っていないフルスイング。球界最高峰の選手たちが、派手なプレーを見せ合う球宴が、間もなくやってくる。西武の栗山はプロ15年目で初めて、その舞台に呼ばれた。
スコアの余白
プロ野球オールスター、監督推薦で西武・栗山ら選出
ようやくか――。それが率直な感想だ。2008年に最多安打のタイトルを獲得。甘いマスクの左の好打者は不動の上位打線。今は主将を務める西武の“顔”だ。球宴に選ばれないことを勝手に「西武七不思議」と名付けていたくらいだ。(他には未確認ながら「西武プリンスドームには球団幹部が記者に会わずに帰れる抜け道がある」など)
記者会見では控えめな言葉を並べた。「つまらない打撃になるかもしれないけど……」。球宴を見る子どもたちへのメッセージを求められると、「もっと他にいい選手がたくさんいますから。ぜひ違う選手をお手本にしてほしいかな」。
確かに、豪快な本塁打を打ちまくるわけではないし、足がめちゃくちゃ速いわけでもない。プレーの印象は、「堅実」だ。
でも、「つまらない」なんてことはない。バットコントロールと選球眼の良さは球界屈指。厳しい内角球を流し打って安打にしてしまう対応力の高さは、名前通りまさに“巧”だ。僕が西武を担当した12年からの2年間だけでも、その技術でチームを何度も救った。
投票したファンが期待しているのは、日本ハム・大谷の豪速球やヤクルト・山田哲人の本塁打かもしれない。「力」がしのぎを削る試合のなかで、したたかに「技」で打つ。そんな玄人好みの野球を大舞台で栗山に見せてほしい。(小俣勇貴)