常総学院―履正社 五回表に暴投で追加点を取られた投手寺島(左)に声をかける遊撃手若林健=伊藤進之介撮影
(16日、高校野球 常総学院7―4履正社)
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■履正社・寺島成輝投手
剛腕が見せた、唯一と言っていい隙だった。
4点を追う五回の守り。履正社の寺島は先頭に右中間を破られ、無死二塁。常総学院の4番花輪の投前バントを三塁寄りで捕球し、反転して一塁へ。しかしこれが悪送球となり一、三塁。「準備不足だった」
悪い流れは連鎖する。暴投で追加点を許すと、無死二塁から再び投前へ転がされ、三塁アウトを狙ったが、野選。常総学院の4連続バント攻撃に翻弄(ほんろう)され、7点目を奪われた。寺島は「ゼロで抑えようというときに、ああいう形で点を取られるのは、チームとしても自分としても嫌だった」。打ち崩された感覚はないだけに、ダメージは大きかった。
148球で完投した横浜戦から、中1日。下半身に張りはあった。救援する心構えはできていたが、先発の山口が二回途中と予想外の早さで降板した。「言い訳になるが、まだ肩を作り始めた状態だった」とうつむいた。
ただ、エンジンがかかると、沈む変化球を織り交ぜながら、最速145キロの速球を投げ込んだ。六回以降は、5者連続を含む6奪三振、被安打ゼロと圧巻の投球。ようやくたどり着いた初めての甲子園で、高校生離れした力を見せつけた。「長いようで短い3年間だった」
「西の横綱」と呼ばれた履正社を引っ張った寺島の夏が終わった。だが、183センチ、85キロの左腕には、大きな未来が待っている。(井上翔太)