第1局を制した高尾紳路九段=31日午後7時52分、東京都文京区、堀英治撮影
第41期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第1局は2日目の31日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で打ち継がれ、午後7時29分、挑戦者の高尾紳路九段(39)が井山裕太名人(27)に217手までで黒番中押し勝ちし、シリーズ開幕戦を飾った。持ち時間各8時間のうち残りは両者1分。第2局は9月14、15の両日、愛知県田原市で打たれる。
タイムライン 第41期囲碁名人戦七番勝負
実利先行の作戦をとった高尾挑戦者が名人の猛攻に耐え、きわどくしのいで辛勝した。第35期と第40期で井山名人に挑戦し、ストレート(4連敗)負けしていた元名人の高尾挑戦者は、名人戦としては9戦目で初めて井山名人を破った。
左辺黒77(封じ手)からが2日目。挑戦者は左下黒79にまわり、実利で大きくリード。左辺も黒113と生き、名人は挽回(ばんかい)の難しい状況に追い込まれた。
雲行きが変わり始めたのが、右上と右辺の黒の一団を絡み攻めに行った白126あたりから。右辺の黒が生きるか死ぬかという最後の勝負どころでは、「名人の勝ち」と検討陣が判断した場面もあった。
解説の河野臨九段は「挑戦者には余裕があったはずですが、最後はきわどい決着でした。開幕戦から期待どおりの大熱戦でした」と話した。(伊藤衆生)
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高尾挑戦者の話 右辺はいくら考えてもしのぎが見えず、だめ(負け)にしてもおかしくなかった。(初勝利は)ほっとしたが、まだ始まったばかりです。
井山名人の話 1日目は方針が定まらず、まずい打ち方だった。最後は、正しく打てば右辺の黒を取れると思っていた。白156を後悔している。