選手団の宿舎のホテルから臨む保山市の街並み
8~10日にかけて、日中韓3カ国のトップ棋士が対戦した「第5回世界囲碁名人争覇戦」の会場は、中国西南部の雲南省保山市。ミャンマー国境に近く、羽田から飛行機を乗り継いで空路11時間余りかかるが、人口約260万人の大都市だ。
メノウや翡翠(ひすい)、琥珀(こはく)などの鉱物資源に恵まれ、1200年以上前から碁石が制作されたといい、囲碁が盛んな土地柄。色つやがよく手触りが良い保山の碁石は珍重され、明朝時代には皇帝への献上品にもなったといわれる。
会場の永子棋院は、中華風の豪壮な楼閣造りの8階建て。全館が囲碁の専用施設で、8日の井山裕太名人・七冠(28)と中国の連笑名人(23)の第1戦では、50人以上の取材陣が2人を囲んだ。対局がない時間、井山は中国の報道陣や囲碁関係者らからさかんに写真やサインを求められていた。
井山は昨年11月、世界メジャー棋戦「LG杯」の準決勝で、世界最強といわれる中国の柯潔九段(20)を破って一躍世界の注目を浴びた。国内で七冠独占を果たしても、世界に目を向ければ日本勢のメジャー制覇は13年前、同じくLG杯で優勝した張栩九段までさかのぼる。
第1戦で井山に苦しみながら勝った連は「井山さんは間違いなく日本最強だが、中国には世界タイトルを狙える棋士が少なく見積もっても20人はいる。もちろん井山さんも世界を狙えるひとりだと思う」と話した。(保山=大出公二)