盛岡市内の小売店では「岩泉ヨーグルト」の売り切れが相次いでいる=3日、盛岡市
岩手県岩泉町で作られている人気商品「岩泉ヨーグルト」が、製造休止に追い込まれている。岩泉乳業の工場が台風10号で被災。復旧のめどは立っていない。
同社の山下欽也社長(59)によると、8月30日に上陸した台風で工場そばを流れる小本川が氾濫(はんらん)し、三つの工場がすべて浸水して機械が使えなくなった。
地元産の生乳を2日間、低温で発酵させ、1日10トンを製造。東北や東京、大阪に出荷してきた。もっちりした食感が人気で、生産が追いつかないほどだった。
同社は2004年の設立。パックの牛乳を生産していたが、09年にヨーグルトに転換し、15年度には13億円余りを売り上げた。山下社長は「町を支える基幹産業になりつつあるところだったのに」と悔やむ。
東京・銀座にある県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」でも、加糖タイプやプレーンタイプ(いずれも1キロ税込み832円)などを販売していた。担当者は「台風以降も『在庫がありますか』と問い合わせがあるほどの人気商品なので、(休止は)残念」と話す。山下社長は「『いつまでも待っている』というお客の声が届く。社員が一丸になって復旧に向けて頑張りたい」と話した。(船崎桜、大塚晶)