ビオトープでは、カエルやメダカなど様々な生き物が見つかった=7月16日、大阪府岬町多奈川東畑、上田真由美撮影
関西空港建設の土砂を採るために削られた山の跡地で、ボランティアたちによって豊かな生き物たちのすみかが育まれている。大阪府岬町の多奈川地区多目的公園にある「多奈川ビオトープ」。ふだんは立ち入り禁止だが、年5回開放し、今秋は9月17日、10月15日、11月19日に予定している。
7月中旬、強い日差しの中、池に腰までつかったボランティアたちが生い茂ったガマを刈り取っていた。まわりを羽の幅広いチョウトンボや真っ赤なショウジョウトンボが飛び交い、ギンヤンマが産卵する。水鳥の巣の跡も見つかった。水生生物の調査に来た府立大大学院生は「大阪にこんなところがあったんだ。こんなに広い池で外来種が入って来ていないのは珍しい」。
関空から15キロほど南西にある公園は、関空2期事業の埋め立て用土砂の採取地。1999~2005年度、山は削られ、約7千万立方メートルの土砂を供給した。その後、128ヘクタールの多目的公園として整備され、グラウンドや民間企業の太陽光発電所として使われている。このうち北東の2・5ヘクタールの一画がビオトープ(野生生物の生息空間)だ。
土砂採取で一度はむき出しの土だけになったが、公共事業で公園整備の一環としてサクラやクヌギが植えられ、池も造られた。そこからがボランティアの出番だった。ため池があった里山の環境を再生させようと、公園整備に携わった府や町の職員、自然の保全・再生を担うビオトープ管理士、沿線の環境保全に力を入れる南海電鉄の社員たちが集まり、08年4月から毎月、手入れを続けている。
湿地に土囊(どのう)で土手を…