復刊された「とっきゅうでんしゃ あつまれ」
乗り物絵本で知られる山本忠敬(ただよし)さん(1916~2003)の生誕100年を記念し、絶版となっていた2冊が復刊され、人気を集めている。京都では25日まで原画展も開催。作品からあふれる「乗り物愛」が、ときを超えて大人も子どもも楽しませている。
特集:“テツ”の広場
「しょうぼうじどうしゃ じぷた」は208万部のロングセラー。「はたらくじどうしゃ」など、残した乗り物絵本は50冊を超える。
福音館書店が2月に復刊したのは「でんしゃがはしる」と「とっきゅうでんしゃ あつまれ」。
「でんしゃ~」は1970年代の東京を舞台に、黄緑色の山手線が様々な電車と出会いながら一周する様子がいきいきと描かれている。同社の古川信夫さん(65)は、「誇張して擬人化するわけではなく、電車の微妙な傾け方で表情を伝えている。子どもたちを引きつける独特の力があるんです」。この絵本がきっかけで、鉄道マンになった人もいるという。
絵本の演出上、電車の向きなど細部が実際とは違う場面があり、読者からも指摘があったため、1978年の刊行後お蔵入りになっていた。だがその後も、幼いころに親しんだ人や新たなファンから、もう一度読みたいという声が寄せられ続けたため、来年7月までの特別復刊を決めた。
山本さんは毎回綿密な取材を重…