60歳を過ぎて出会った女性に、「人生最後のチャンス」と入れ込んだ男(67)。しかしその思いは、男の一方通行だった。真実を知った時、男は女性の首に手をかけた。
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7月4日、東京地裁立川支部301号法廷。青いワイシャツに黒のスラックス姿で、男(67)は法廷に立った。
「間違いありません」
検察官が起訴状を読み上げると、男は細くかすれ、消え入りそうな声で犯行を認めた。事件直後に自ら首を包丁で刺して以来、声を出しづらいという。
起訴内容は、今年1月20日夜から21日未明に、自宅で交際相手の中国籍の女性(当時51)の首を両手で絞めて殺したというもの。判決や公判での男の供述などから、事件をたどる。
男は2003年に刑務所を出所。1996年に交際相手の女性の首を絞めて殺した罪で、刑に服していた。相手の浮気を疑った末の凶行だった。「女性と深い関係を持つのはやめようと思いました」。出所後は警察沙汰を起こすこともなく、自動車関連会社で勤務。定年後も老人ホームで働いていた。
今回の事件で殺害された女性とは、同僚に連れられて行ったスナックで出会った。客と従業員として話すうち、意気投合して電話番号を交換。14年4月ごろから交際を始めた。
同年8月ごろ、2人はいつか一緒に中国旅行をしようと計画した。「100万円以上あれば、1カ月ぐらいの観光ができる」。女性にそう説明され、毎月5万円を積立金として女性に渡し始めた。年が明け、男の自宅に毎月女性が泊まりに来るようになると、生活費としてさらに8万円も渡すようになった。
弁護人「あなたは将来どうなりたかったの」
男「自分の伴侶として、人生最後のチャンスだと思いました。一緒に死ねたらいいと思いました」
弁護人「どんな性格にひかれたんですか」
男「いつも明るく笑顔で、料理を残さず全部食べるところです」「『愛しているのはパパだけよ』『離れていても心は一つ』。いつもそう言われました」
今年1月20日夜。男は自分の…