大阪府茨木市で難病の長女(当時3)を衰弱死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親(21)=保釈、事件時未成年=の控訴審判決が28日、大阪高裁であった。樋口裕晃(ひろあき)裁判長は一審の裁判員裁判による無罪判決(求刑懲役6年)を破棄し、審理を大阪地裁に差し戻した。
母親は2014年4月以降、全身の筋力が弱い先天性ミオパチーの長女に十分な栄養を与えず、病院にも連れて行かず同6月15日に死なせたとして起訴された。
公判では保護義務を怠る「故意」の有無が争点となり、一審判決は「毎日接している母親は体格変化に気付きにくく、保護が必要な状態と認識していたとまでは言えない」とした。
高裁判決は、順調に増えていた体重が死亡までの8カ月で3キロ減っていたと指摘。「ミオパチーの罹患(りかん)を考えても異常で、入浴や着替えで被害者の全身を観察していたはずの母親が変化に気付かなかったとは考えがたい」と判断した。
そのうえで、遅くとも14年5月下旬には保護が必要と認識していたと認定し、「これを前提に裁判員裁判で評議を尽くす必要がある」として審理の差し戻しが妥当と結論付けた。
一緒に逮捕された父親(24)=保釈中=は一審段階で、故意がなくても適用される重過失致死罪が予備的に追加され、有罪判決を受けて控訴している。