東日本大震災からの復興のための特例を悪用し、国の雇用助成金約5億9千万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた人材育成会社「ビジービー」(大阪市中央区)社長、中村真也被告(50)=兵庫県西宮市=の判決が18日、大阪地裁であった。小松本卓裁判官は懲役6年(求刑懲役7年)を言い渡した。
判決によると、中村被告は2011年6月~12年6月、仙台支店の売り上げを水増しした書類を作成。被災地の売上高が全体の3分の1以上で受給要件が緩和される「中小企業緊急雇用安定助成金」を大阪労働局に申請し、計5億9545万円だまし取った。
弁護側は「被災者を救いたいという思いを労働局が受け止め、不正と知った上で大目に見てくれていると思っていた」と主張。実際に多くの被災者を新規雇用し、詐取金の主な使途が人件費だったと訴え、執行猶予付き判決を求めていた。
これに対し、判決は「震災特例の要件は裁量の余地が入るものではなく、労働局が特例を認めたと考えるのは社会的常識を逸脱している」と指摘。「犯行は会社の延命と被告人の地位を保全するためのもので、違法性は高い」とした。