最高裁に向かう厚木基地騒音訴訟の原告団=31日午後2時14分、東京都千代田区、恵原弘太郎撮影
米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)の周辺住民らが、軍用機の飛行差し止めや騒音被害に対する損害賠償を国に求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は31日、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。判決は12月8日に言い渡される。
2014年5月の一審・横浜地裁判決は、夜間と早朝(午後10時~午前6時)の自衛隊機の飛行差し止めを全国で初めて認め、昨年7月の二審・東京高裁判決もこれを支持した。だが、最高裁が判決の変更に必要な弁論を開いたため、この判断が見直される可能性がある。最高裁判決は、岩国基地(山口県岩国市)、小松基地(石川県小松市)など、他の5カ所の基地で争われている騒音訴訟にも、大きな影響を与えそうだ。
このほか、二審判決は過去分の損害賠償だけでなく、16年末までの「将来分」の被害に対する賠償も認めた。この論点についても最高裁は、判断を示すとみられる。住民は米軍機の飛行差し止めも求めていたが、最高裁はこの点については上告を受理しておらず、差し止めを認めなかった一、二審の判断が確定する見通し。
31日の弁論では、原告団長の金子豊貴男(ときお)さん(66)が「私たちの悲願は、爆音被害を根絶するための飛行差し止めだけ。最高裁は住民の立場に立った判断を示してほしい」と訴えた。一方、国側は「自衛隊機の運航を一律に『国の裁量権の逸脱だ』とした高裁判決は誤りだ」などと主張した。(千葉雄高)