神戸山口組の定例会に集まる組関係者。護衛役が車の周囲を囲み、物々しい雰囲気に包まれていた=9月8日、兵庫県淡路市
指定暴力団神戸山口組の本部事務所(兵庫県淡路市)が付近住民の生活を脅かしているとして、公益財団法人「暴力団追放兵庫県民センター」が2日、事務所の使用差し止めを求める仮処分を神戸地裁に申し立てた。住民の委託に基づく代理訴訟で、指定暴力団の本部を対象にしたのは全国初。暴力団の抗争や内紛が各地で続く中、司法の判断が注目される。
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代理訴訟は2013年に施行された改正暴力団対策法で認められた制度。国家公安委員会から「適格団体」の認定を受けた各都道府県の暴追センターが、原告として住民の法的手続きを代行する。組員らの報復を恐れ、訴訟に踏み切ることができない住民らを後押しするのが狙いだ。暴力団追放兵庫県民センターによると、これまでに広島や埼玉、福岡などで提訴や仮処分の申請が6例あり、暴力団が退去するなど多くで効果を上げているが、いずれも指定暴力団の傘下団体の事務所が対象だった。
今回、対象とする淡路市志筑(しづき)の事務所は、15年8月に指定暴力団山口組(本部・神戸市灘区)が分裂した後、神戸山口組の本部とされた。直系組長らが集まる月1回の「定例会」などが開かれ、住民が平穏に生活する権利が脅かされていると訴える。仮処分が認められれば事務所への組員の立ち入りなどが禁じられる。兵庫県警幹部は「全国に組織を持つ指定暴力団が拠点を失えば、活動への強い締め付けになる」と話す。