山本有二農林水産相は1日夜、東京都内で開かれた自民党議員のパーティーで、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案をめぐる自らの「強行採決」発言について、「冗談を言ったら、クビになりそうになった」と述べた。野党側は発言を問題視し、2日午前、辞任を要求。自民党の竹下亘国会対策委員長は同日午後に採決を予定していた衆院TPP特別委員会の開催を見送る方針を決めた。
4野党、山本農水相に辞任要求へ 「冗談でクビに」発言
民進、共産、社民、自由の野党4党の国会対策委員長は2日午前、国会内で会談し、山本氏に辞任を求めるとともに、同日午後の特別委の採決に応じられないとの考えで一致。民進の山井和則国対委員長はその後、自民の竹下氏と会談し、野党側の要求を伝えた。これに対し、竹下氏は山井氏との会談で「今日の委員会は開く環境にはない」として、開催を見送る方針を伝えた。辞任要求については「人事権はないので、皆さん方の要望は官邸に伝える」と述べた。
菅義偉官房長官は2日午前の記者会見で、山本氏を厳重注意したとしたうえで、「軽率な発言をしたことを深く反省しており、辞任するような話ではないと思っている」と語ったが、自民の吉田博美・参院幹事長は議員総会で「大臣のあのような発言は断じて許すわけにはいかない」と批判。公明の漆原良夫・中央幹事会会長は記者会見で「本当に厳しく山本大臣は反省すべきだ。不誠実な言動の積み重ねが安倍内閣の体力を奪っていることをしっかり認識してもらいたい」と指摘した。