埼玉県川越市で2012年、当時市立中学2年生の男子生徒が同級生にいじめられ、暴行を受けて意識不明の重体になったとして、生徒と保護者が、同級生3人とそれぞれの保護者、市を相手取り、介護費用など計約3億9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、さいたま地裁川越支部で言い渡された。野口忠彦裁判長は市の安全配慮義務違反も認め、同級生と保護者、市で連帯して総額約1億4873万円を生徒と保護者に支払うよう命じた。
訴状などによると、生徒は12年1月5日、市内の公園で3人に殴られたり蹴られたりして意識不明の重体になった。原告側は訴状で、生徒は入学直後から3人に日常的にいじめを受けていたと指摘。学校はいじめを把握していたのに、その場限りの指導だけで放置し、生徒への安全配慮義務を怠った、と主張していた。
裁判で市側は「いじめと認識していなかった」と反論していた。同級生3人は傷害容疑で逮捕され、少年院に送致された。
原告側によると、生徒は今も意識が戻らず、胃ろうなど生命維持措置が必要で、目を開け寝たきりのまま、意思表示ができない状態。小さな頃に聴かせた音楽を耳元で流すと、目に涙を浮かべるなどの反応があるという。