島の人たちと談笑する竹内功さん(中央)=鹿児島県十島村宝島、小玉重隆撮影
ツルッとした細い葉を広げ、島らっきょうが約4千平方メートルの砂地にびっしり育つ。鹿児島県・宝島(たからじま)で、竹内功(いさお)さん(44)は海辺の畑に腰を落とし、土色の手で雑草をより分けて抜く。移住して7年目。「ザラッとした雑草の感触が素手だとよくわかる。らっきょうを傷つけずに残せるんです」
農薬は使わず、雑草が絶えない。1月下旬から収穫し、東京では1キロ2500円ほどで取引される。今年は3トンの収穫を見込む。
鹿児島市から南に約300キロ。宝島へは週2便のフェリーで13時間ほどかかる。周囲約14キロの孤島で、200メートル四方ほどの集落に130人あまりが暮らす。
宝島など有人7島と無人5島からなる十島村(としまむら)は2015年の国勢調査で、5年間の人口増加率が15・1%に上り、全国2位に躍り出た。
秘境の島々へ、人々が吸い寄せられている。