中学校の制服が並んだ大手スーパーの売り場。制服販売はピークを迎えている=東京都内
経済的に苦しい家庭の小中学生約150万人が受けている「就学援助」の一環で支給される入学準備金について、支給時期を前倒しする自治体が増えている。朝日新聞のまとめでは、少なくとも全国の約80市区町村が、入学後から、制服購入などで出費がかさむ入学前に変更していた。子どもの貧困が問題化するなか、前倒しはさらに広がりそうだ。
「制服やランドセルなどで負担が大きくなる3月までに支給するよう議論してきた。実施時期や対象をどう考えているか」。昨年12月、北海道室蘭市議会で市議が質問すると、市教育委員会幹部は今年春に小中学校に入る子どもから、従来の6月ではなく3月に支給すると答えた。国が示す目安に沿って新小1には2万470円、新中1には2万3550円を支給する。
文部科学省の2014年の調査によると、学校教育のために家庭が支出する金額は小中学校ともに1年生が最も多い。中1では制服だけで平均4万6千円。体操服や上履き、通学かばんなども含めると入学前に10万円以上かかる場合もある。入学準備金はその一部に充てるお金として、市区町村が定額を支給している。
支給時期は入学後の6~7月が主流だ。多くの自治体は支給対象世帯かどうかを入学前年の世帯所得で判断するが、所得に基づく納税額が確定するのは5月ごろになるためだ。室蘭市は前々年の世帯所得をもとに対象世帯を決めることにし、時期を前倒しした。
朝日新聞のまとめでは、同様の手法で、今春入学する新小1、新中1の両方またはいずれかに支給する分から前倒しすることにしたのは、東京都の文京区、新宿区、豊島区、世田谷区、八王子市、武蔵野市、神奈川県の大和市、海老名市、札幌市、北海道苫小牧市、宇都宮市、群馬県太田市、甲府市、長野県松本市、三重県の四日市市、伊勢市、大阪府の柏原市、泉大津市、北九州市、熊本市、佐賀市、長崎市など、少なくとも約60市区町村に上る。
大半が3月支給だが、より早い…