生後3カ月の男児に覚醒剤を飲ませ殺害したとして、殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の罪に問われた熊本県益城町宮園、無職吉村天翔(てんしょう)被告(25)に対する裁判員裁判の判決が8日、熊本地裁であり、溝国禎久裁判長は懲役16年(求刑懲役20年)を言い渡した。
被告は「自分は飲ませていない」などと無罪を主張。弁護人によると、9日に控訴する予定という。
判決によると、吉村被告は2015年9月4日、熊本市東区のホテルで、一緒にいた知人女性の長男の西田悠真(ゆうしん)ちゃんが死亡する危険性が高いと認識しながら、口から覚醒剤を飲ませて殺害した。死因は覚醒剤中毒による循環障害などだった。
判決は、吉村被告が事件以前から悠真ちゃんに覚醒剤を与えていた可能性を指摘。事件後に被告から「(何かを)飲ませた」と聞かされたとする知人の証言を踏まえ、被告が知人に「ふと真実を口にしてしまったと考えるのが常識にかなっている」と認定した。
弁護側は公判で「覚醒剤が誤って入ってしまった事故の可能性がある」などと訴えたが、判決は被告が殺害したことに「合理的な疑いはない」と退けた。(板倉大地、大森浩志郎)