熊本市のホテルで2015年、生後3カ月の男児に覚醒剤を飲ませて殺害したとして、殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の罪に問われた無職吉村天翔(てんしょう)被告(26)=熊本県益城町=を懲役16年とした一、二審判決が確定する。最高裁第一小法廷(木沢克之裁判長)が16日付の決定で、被告の上告を棄却した。
一、二審判決によると、吉村被告は15年9月、熊本市のホテルで、一緒にいた知人女性の長男が死亡する危険性が高いと認識しながら口から覚醒剤を飲ませ、覚醒剤中毒による循環障害などで殺害した。
被告は「男児が誤飲した可能性がある」として無罪を訴えたが、裁判員裁判だった2月の一審・熊本地裁判決は「抽象的な可能性の指摘にとどまる」と指摘。7月の二審・福岡高裁判決も「仮定を積み重ねた無理のある推論」と判断し、一審判決を支持した。