田子ノ浦部屋宿舎の近くに住む大勢の住民が交流会に駆けつけ、稀勢の里に声援を送った=4日午後、大阪市港区の築港小学校、小林一茂撮影
春のなにわが大相撲の新横綱稀勢の里フィーバーに沸いている。春場所は19年ぶりに誕生した日本出身横綱のお披露目場所。稽古を見ようとファンが列をなし、前売り券は近年では異例の即日完売。大盛況の中、12日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。
どすこいタイムズ
稀勢の里の大阪入り後、初の土曜日の4日。田子ノ浦部屋の宿舎、築港高野山釈迦院がある大阪市港区は熱気に満ちていた。
午前9時、宿舎では約200人のファンがカーテンで閉め切られた土俵で行われている朝稽古を小窓から交代で見学。部屋は混乱を避けるため、特別に警備係を10人近く配置してファンの整理に努めた。
午後、近くの小学校で初めて行われた交流会には約2600人が集まった。初場所後の東京都江戸川区での優勝報告会には約4500人、出身地・茨城県牛久市でのパレードには約5万人。祝福ムードと期待感が大阪へもつながっている。
釈迦院は先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)時代からの宿舎で、地元住民は、15年前、稀勢の里が初土俵を踏んだころから見守ってきた。ちゃんこ作りや掃除を手伝ってきた大場節子さん(68)は「『キセちゃん』と呼んでかわいがってきただけに我が子のような存在。横綱として迎えられるのは感無量です」。
■観戦ツアーも完売、キャンセル待ち多数
新横綱稀勢の里のインパクトは予想以上だった。
約7400人を収容する春場所の前売り券は、発売開始の2月5日、全15日間分が約2時間半で完売した。昨年春場所も日本出身力士として10年ぶりに優勝した琴奨菊の綱とりがかかって連日満員札止めとなったが、前売り券は平日を中心に完売まで時間がかかった。旅行会社クラブツーリズム(本社・東京都)の観戦ツアーも全日程計1700人分以上の枠が完売。キャンセル待ちも多数いる。
大阪はもともと相撲人気が高い土地柄だが、野球賭博や八百長問題などの不祥事で2011年は春場所が中止。翌年には知名度の高い貴乃花親方(元横綱)を担当部長に据え、営業活動に力を入れ、人気回復に努めた。それだけにこの活況は日本相撲協会にとっても想像以上。現担当部長の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「街でチケットを売り歩かないとダメかと思っていたけど杞憂(きゆう)に終わった。ありがたい話です」。
懸賞も増えそうだ。昨年の計1…