韓国の出版社「銀杏(いちょう)の木」は7日、慰安婦を象徴する「少女像」についての作家筒井康隆氏のツイッターの書き込みに「失望した」として、同社が翻訳出版している筒井氏の小説「モナドの領域」を販売中止にしたと発表した。出版を予定していた小説「旅のラゴス」も、日本の著作権会社などに契約解除を通知したと明らかにした。
筒井康隆氏、慰安婦像への侮辱促す? 「炎上狙った」
同社はホームページで「筒井康隆氏の文学的な成功とは別個の、韓日関係と歴史をめぐる作家個人の視点に大きく失望した。作家としてだけでなく、一人の人間としての態度と資質に憤りと悲しみを覚える」との談話を発表した。「モナドの領域」は同社が昨年12月に翻訳出版し、主要書店でベストセラーになった。
筒井氏はアニメーション版「時をかける少女」の原作者として韓国で知られる。主要紙・中央日報は「感性豊かな色彩と美しい叙事で韓国でも人気を呼んだ『時をかける少女』の原作者が、とうてい口に出すことができない言葉で少女像を侮辱した」と伝えた。(ソウル=武田肇)