天皇陛下の退位を実現する特例法案をめぐり、与党が調整している付帯決議案が明らかになった。安定的な皇位継承を確保するための検討を、政府に求める内容だ。ただ、衆参両院の正副議長が3月にまとめた「議論のとりまとめ」に記されていた「女性宮家の創設」は明記されておらず、民進党などは修正を求める方針だ。
付帯決議案は皇族数の減少を踏まえ、安定的な皇位継承を確保するための諸課題を「先延ばしすることはできない重要な課題」と指摘。特例法が施行された後、「できる限り速やかに」検討し、「検討結果を国会に報告する」よう求めている。
3月の「議論のとりまとめ」では、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家の創設等」という文言が盛り込まれていた。民進党の主張を反映したものだが、明らかになった付帯決議案には入っていない。民進党が「1年を目途に結論を示すべきだ」と求めていた検討の期限についても触れていない。「議論のとりまとめ」は検討する期限について、「各政党・各会派間で協議を行い、付帯決議に盛り込むことなどを含めて合意を得るよう努力していただきたい」として、努力目標としていた。
付帯決議案は19日までに、自民党の茂木敏充政調会長と公明党の北側一雄副代表、民進党の馬淵澄夫・党皇位検討委員会事務局長の協議で示された。「議論のとりまとめ」をめぐっては、政府が作成した特例法案の骨子案でも民進党がこだわった部分が変更されており、陛下の退位を例外的な扱いとする色合いが強まっている。
与野党調整の末に盛り込まれた項目が抜け落ちた付帯決議案や骨子案について、民進党では「国会のとりまとめと180度違う」(幹部)といった反発が出ている。一方、自民党幹部は「今はまだ原案の段階だ」として、修正に含みを残している。まずは自民、公明、民進の3党を中心とした実務者で、付帯決議案などの修正協議が進むことになりそうだ。
明らかになった付帯決議案の全文は次の通り。
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政府においては、安定的な皇位継承を確保するための諸課題について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることを鑑み、本法律の施行後できる限り速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、皇室の御活動の円滑な実施の観点から、全体として整合性が取れるようしっかりと検討を行い、その検討結果を国会に報告すること。