衆院議院運営委員会は9日、政府が原子力規制委員会の次期委員長の候補者として提案した更田豊志(ふけたとよし)・規制委員長代理に対する所信聴取を行った。更田氏は、原発の「抜き打ち検査」を導入することなどで「検査制度の革新を目指し、原発の監視を強化していく」と語った。
電力会社には厳しい姿勢 原子力規制委員長後任の更田氏
改正された原子炉等規制法により、原発の保安検査は2020年度から事業者が自ら行い、規制委はその検査状況を事前通告なしに確認できるようになる。ただ、リスクに応じた包括的な監視をするには保安検査官にも力量が求められるため、更田氏は「人材育成と安全文化の醸成、緊張感を持った事業者とのコミュニケーションが重要だ」と語った。
原発の再稼働に向けた新規制基準に基づく審査に時間がかかり過ぎているとの指摘に対しては、「科学的、技術的な議論を重ねる中で、新たな論点が出ることもある。安全に妥協はできない」とし、「今後も透明性を維持し、新たな知見を学びながら厳正に進めていく」と語った。
また、東京電力福島第一原発や日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)、東海再処理施設(茨城県)などの廃炉・廃止がスムーズに進むよう、合理的な規制や情報発信に努めていくとした。(東山正宜)