浅丘ルリ子=篠田英美撮影
■「やすらぎの郷」に出演
現場でパッ、それが好きなの 浅丘ルリ子さん
リラックスして、硬くなっていない?――。インタビューの冒頭、スター女優を前に縮こまる記者を、そう言って和らげてくれる。その気遣いは撮影現場でも変わらない。大物然とすることなく、若いスタッフにも気さくに声をかけ、ときおり冗談を飛ばす。
テレビ界に貢献した者のみが入居できる老人ホームを舞台にした昼ドラマ「やすらぎの郷(さと)」(朝日系、月~金曜昼0時半)で演じるのも自身と同じ大女優。難なくこなしているのかと思いきや、「女優を演じるのは難しい」と言う。「生の私が出ちゃいけないし、全部私だと思われるのも、とっても嫌。だから、芝居で少しずつ変えているんです。姿かたちは変えられないけど、セリフの言い方なんかで工夫しています」
中高年の視聴者に目で楽しんでもらいたいとの思いから70着近い衣装を用意した。「老人ホームだから普段着でいいわけじゃない? でも私はアクセサリーからメイクまでフル装備。本当は爪の色も変えたいんですけど……」。そのこだわりには恐れ入る。
現場は元夫の石坂浩二ら、かつて共演した俳優仲間ばかり。「気心が知れている方も多く、まさにやすらげます」と笑う。放送が半年間続くハードな現場だが、日々欠かさないストレッチやヨガで体力は万全とのこと。「年を重ねれば顔にしわができ、見た目には出るかもしれない。でも私は姿勢はいいし、体のどこにも痛いところがない」
中盤を迎えたドラマは好評で、岸惠子や三谷幸喜からも賛辞の声が届く。「この人たち、まだまだ元気だわと思ってもらえたら一番うれしい」(文・小峰健二 写真・篠田英美)