丸山慎一市議の視察・調査報告書。「紅葉研究」として南禅寺、八坂神社など京都市内の名所を訪れたという
岐阜市議の丸山慎一氏(65)=無所属=が2016年度、政務活動費を使い3度にわたり京都市で紅葉や寺社の「視察・調査」をしていたことが、3日公開された岐阜市議会の政活費収支報告書で分かった。丸山氏は「観光政策の勉強」と説明するが、学者は正当性に疑問を示している。
報告書によると、丸山氏は昨年7月29日、「夏の観光客の導入施策の研究」で八坂神社などを訪れ、交通費計1万1660円を計上。11月21日には東福寺や南禅寺などで「紅葉時期になぜこれほどの観光客が押し寄せるのか研究した」として交通費1万2460円を計上した。今年1月12日には「信仰を媒体とした観光施策の研究」として青蓮院(しょうれんいん)門跡に行き、交通費1万4530円を計上した。報告書には「信仰面だけでなく、集客装置も考えられている」と記載した。
3件とも交通費の領収書は添付されていたが、訪問先での面会相手は記載されていなかった。
丸山氏は、朝日新聞の取材に「観光政策の勉強で、すべて政治活動に生かしている。現地で観光客らの生の声を聞いた。その場に行かないと勉強できない」と、正当な支出と主張した。市議会事務局の担当者は、運用条例上は問題ないとの認識を示した上で、「時期や場所から、一般論として疑念を持たれるかもしれないと指摘したが、『観光の勉強』とのことだった。こちらから否定はできない」と話した。
岐阜市議会では昨年、白紙領収書使用や自己所有物件への事務所費支出など、政活費の不適切受給が相次ぎ発覚。市議1人が辞職した。丸山氏も、視察の宿泊費や旅費の領収書を添付していなかったことが発覚し、15年度分の政活費の一部を返還した。
政治倫理に詳しい神戸学院大法学部の上脇博之教授(憲法学)は「視察を口実にした観光で違法ではないか。政活費を使うべきではない」と指摘している。(山野拓郎、吉川真布)