会見する野々村竜太郎元県議=2014年7月1日、神戸市中央区
政務活動費913万円をだまし取ったとして、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)に対し、神戸地裁(佐茂剛〈さもたけし〉裁判長)は6日、懲役3年執行猶予4年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。
起訴状によると、野々村被告は2011~13年度の政務活動費で、城崎温泉(兵庫県豊岡市)や東京、福岡などへの日帰り出張を計344回したほか、はがきや切手代などに費やしたとする架空の書類を作成。これらを収支報告書に添えて県議会側に提出し、913万円をだまし取ったとされる。
野々村被告は疑惑が発覚した14年7月、記者会見で号泣。使途について明確な説明のないまま議員を辞職し、11年の初当選以降に受け取った政活費計1834万円を全額返還した。
県議会などから告発を受けて県警が捜査に乗り出し、神戸地検が昨年8月に在宅起訴した。捜査段階では容疑を認める反省文を書いていたが、今年1月の初公判では「(内容は)うそ偽りで後悔している」と述べ、その後、起訴内容について「記憶がない」と繰り返した。
検察側は論告で「県議の地位と信頼を悪用した大胆不敵で狡猾(こうかつ)な犯行。反省の態度もまったくない」と指摘。一方、弁護側は「政活費は全額返還し、社会的制裁も受けた」と執行猶予付きの判決を求めていた。
■野々村竜太郎被告の歩み
2011年4月10日 兵庫県議選(西宮市選挙区)で初当選
2014年7月1日 政務活動費をめぐり、不自然な日帰り出張を重ねていたことが発覚。記者会見で号泣
7月11日 議員辞職。県議会が告発
7月12日 公式ブログで「非常に反省しています」
7月18日 県警が自宅を家宅捜索
2015年1月19日 県警が詐欺容疑などで書類送検
8月18日 神戸地検が詐欺罪などで在宅起訴
11月24日 初公判で神戸地裁に出廷せず
2016年1月25日 神戸地検が身柄拘束
1月26日 強制出廷の初公判で起訴内容否認。その後、「覚えていない」と繰り返す