公判に臨むシンザト被告=那覇地裁、絵・サイトウカナエ
沖縄県うるま市の女性(当時20)を殺害したとして、殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた元米海兵隊員で元米軍属の男の裁判員裁判が16日、那覇地裁で始まり、被告は殺人罪について殺意はなかったと起訴内容を否認した。強姦致死と死体遺棄の罪は認めた。公判では殺意の有無が争点となる。
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起訴されているのは、ケネフ・フランクリン・シンザト被告(33)。
起訴状などによると、シンザト被告は昨年4月28日夜、うるま市の路上でウォーキングをしていた女性の後頭部を棒で殴り、草地に連れ込んで首を絞めたほか、ナイフで首の辺りを数回刺してから強姦しようとし、一連の行為で女性を殺害したとされる。
被告は逮捕前の県警の調べに「刺し殺した」などと供述したが、逮捕後は黙秘した。弁護人によると、強姦目的で襲ったことは認めているが「殺すつもりはなく、計画性もなかった」と主張している。弁護人は自供について「心身が正常な状態ではなかった」として任意性を争う構えだ。
検察は、女性を刃物で刺したことや恩納村の山中に置き去りにしたことなどから、少なくとも「女性が死んでも構わない」という殺意はあったとして殺人罪などで起訴した。
米国生まれのシンザト被告は2007~14年、米海兵隊に所属し、配属された沖縄で日本人女性と結婚後、シンザト姓を名乗った。事件当時は、米軍基地内の企業でインターネット関連の仕事に就く軍属だった。(小山謙太郎)