今回みつかった北側の大型建物跡(東から、京都市埋蔵文化財研究所提供)
平安京で最大級の貴族邸宅とみられる平安時代前期(9世紀前半)の大型建物跡がみつかっていた京都市中京区の島津製作所三条工場内で、さらに1棟の大型建物跡が出土した。京都市埋蔵文化財研究所が23日発表した。「齋」と記された墨書土器もみつかり、専門家は、京都三大祭りの一つ、葵祭(あおいまつり)のヒロイン役のモデルとされ、古代には伊勢神宮や賀茂神社に仕えた未婚の皇女「斎王(さいおう)(斎宮(さいくう)、斎院(さいいん))」の住まいだった可能性を指摘する。
研究所によれば、現場は桓武天皇(在位781~806年)が造営した平安京の右京三条三坊五町にあたり、昨夏までの調査で東西21メートル、南北9メートルの大型建物跡を確認。その後の調査で、約12メートル北側から新たに東西14メートル、南北8・5メートルの大型建物跡が出土した。いずれも古い建物から建て替えられたとみられ、南北方向に大型建物2棟が並ぶ平安京で最大規模の邸宅だった可能性が強まっている。
これまでの一連の調査で、敷地面積が1町(ちょう、約120メートル四方)規模だったとみられ、研究所は、現在の閣僚クラスにあたる「三位(さんみ)」以上の高級貴族の邸宅だったと推定する。調査地内の南東でも過去の調査で大型建物跡が2棟みつかり、1町内に二つの大型建物の区画を持つ邸宅は平安京内では初めてとされる。
一方、調査地東側の溝から「政所(まんどころ)」と書かれた須恵器の鉢や、「齋」と墨書された灰釉(かいゆう)陶器の皿が出土。敷地内で住まいと事務棟が使い分けられていたとみられる。近くの別の調査地からは「斎宮」と墨書された土器の出土例もある。
斎王とは飛鳥時代から天皇に代…