創成館―智弁和歌山 九回裏の同点打にわくアルプス席の智弁和歌山の吹奏楽部員ら=2018年4月1日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場
第90回記念選抜高校野球大会は1日の準々決勝第2試合で、智弁和歌山が創成館(長崎)に延長十回11――10でサヨナラ勝ちした。一時は5点差をつけられながらの逆転劇。その時、アルプス席では吹奏楽部が次々と「魔曲」を奏でていた。
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五回裏、5点を追う智弁和歌山の攻撃。チャンステーマ「JOCK ROCK(ジョックロック)」が流れると、阪神甲子園球場の雰囲気が一変した。
吹奏楽部顧問だった吉本英治教頭(63)が譜面作成ソフトのサンプル曲を編曲。2000年夏の全国制覇の際に大量点と勝利を呼び込むなど、これまで甲子園で対戦した数々の相手にプレッシャーを与えてきたとして「魔曲」と呼ばれてきた。
この回も異名通り4点を奪取。対戦した創成館の川原陸投手(3年)は「迫力があって投げにくかった」と語る。
さらに智弁和歌山は今大会、6年ぶりの新曲「Miracle Shot(ミミラクルショット)」も準備していた。テレビ朝日の「報道ステーション」スポーツコーナーのテーマ曲を岡村直樹部長(2年)がアレンジ。「ジョックロックは偉大すぎて、比べられないけれど……」と話していたが、早くも「魔曲」の気配を帯びつつある。
智弁和歌山が2点を追う九回裏、「ミラクルショット」が流れる中で2死満塁とすると、起死回生の2点適時打が出て同点に。1点を勝ち越された十回裏もこの曲が再登場。劇的な逆転サヨナラ勝ちをおさめた。
文元洸成主将(3年)は「本当に苦しい場面が何度もあったが、応援の力ってこれほど力になるんだと実感した」と感謝する。吉本教頭は「新旧の『魔曲』で勢いに乗って準決勝も勝って欲しい」と話している。(阿部健祐、大森浩志郎、田中瞳子、笹山大志)