(18日、楽天2―5ソフトバンク)
守護神不在となったソフトバンクの苦境で、新たな「勝利の方程式」が機能した。3点リードの九回。森がマウンドへ。「アドレナリン全開だった。デニス(サファテ)の分もやるだけ」。先頭から難なく2人を打ち取り、四球を挟み、最後は楽天の山下をカーブでバットに空を切らせた。きっちりとゼロで締め、2試合連続セーブを挙げた。
先発のバンデンハークから後を継ぎ、八回を任されたのは、左腕のモイネロ。2番から始まる上位打線を三者凡退に抑え、森につないだ。3人の継投策でチームの連勝を今季最長の「5」に伸ばした。ただ、チームはこの日の勝利を手放しで喜べない状況にある。
試合前、右股関節の検査で帰国が決まったサファテが登録抹消された。昨季、プロ野球記録を塗り替える54セーブを挙げた守護神に加え、最優秀中継ぎ投手の岩崎が右ひじ手術に踏みきったばかり。日本一奪還の原動力になった2人を欠く救援陣は手薄だ。当面の抑えは森とモイネロを軸に穴を埋める方針。工藤監督も「登板順が逆もある。2人にかかる負担は大きくなる」。
この日は野手にもアクシデントが出た。内川が、右ひざ上に死球を受け負傷交代。中村晃も右足の故障で離脱した。工藤監督は表情を引き締める。「(守護神が)いないからこそ強い思いを持ってやってほしい。帰ってくるまでみんなで力を合わせてやっていく」。まだシーズン序盤。ここから王者の底力が試される。(甲斐弘史)