奈良国立博物館で、壁一面にずらりと展示される「春日曼荼羅」=4月14日、福野聡子撮影
創建1250年を記念し、奈良・春日大社の歴史と信仰の全容を紹介する特別展「国宝 春日大社のすべて」(春日大社、朝日新聞社など主催)が奈良市の奈良国立博物館で開かれている。期間中、展示替えをしながら国宝57件、国重要文化財47件など計224件を展示する予定だ。朝廷や貴族らが奉納した宝物のほか、各地に広がった信仰を伝える品々もあり、祈りの美を重層的に感じとれる。
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会場では、猫がスズメを追いかける様子をいきいきと描いた国宝「金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)」(12世紀)、大きな虎の金具が赤糸に映える国宝「赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい、竹虎雀飾〈たけとらすずめかざり〉)」(13~14世紀)など、当時の技術の粋を尽くした宝物が目を引く。源頼朝が寄進したと伝えられ、110年ぶりの修理を終えて初公開された重文「鼉太鼓(だだいこ)」(13世紀)は、鼓面の周りに施された竜の彫刻が見どころだ。
また、榊(さかき)を鞍(くら)の上に立てた鹿の姿を表した重文「春日神鹿御正体(しんろくみしょうたい)」(14世紀)のほか、墨流し風の文様に沿って鳥やチョウ、ハチなどが飛ぶ国宝「蒔絵筝(まきえのこと)」(12世紀)、平安時代の形をほぼ残すとされる国宝「笙(しょう)」(12世紀)なども紹介され、歴史ファンでなくても楽しめる。
数々の「春日曼荼羅(まんだら…