午前8時12分。はりまや交差点を三つの電車が同時に横切る「トリプルクロス」が見られた=高知市
時紀行
全国で唯一、路面電車が十字に交差する「ダイヤモンドクロス」で知られる高知県のとさでん交通。昨年からある珍現象が話題になっている。鉄道ファン必見の珍現象の正体と、ユニークなローカル鉄道を支える人たちを追った。
連載「時紀行」バックナンバー
(時紀行:時の余話)覚悟の挑戦「これは事件取材だ」
高知市中心部のはりまや交差点は鉄道ファンの聖地の一つだ。とさでん交通の路面電車が東西南北に交わる十字の線路を走る。「ダイヤモンドクロス」と呼ばれ、国内で唯一、路面電車同士が交差する。ここで「奇跡」が起きる。
午前8時12分。線路と並走する国道は通勤の車で混み合っている。すると、1両が北から西へ右折し、別の1両が西から北へと左折。そこに東から南へ左折するもう1両が入ってきた。三つの電車が同時に交差点を横切っていく。
「ほんまに3両がクロスしてる。トリプルクロスや」。名付け親は、高知市の観光ボランティアの三井幸一さん(62)。昨年8月、鉄道ファンから「3両が同時に交差点を曲がる瞬間がある」と耳打ちされた。三井さんは毎日のように交差点に通い、「トリプルクロス」を確かめた。
わかったのは、発生は週1回程…