大手前高松―大阪桐蔭 二回裏大阪桐蔭1死二、三塁、柿木がスクイズをし、三塁走者小泉が本塁へ走る。捕手平井、三塁手井上=2018年6月16日午前10時25分、レクザムスタジアム、小木雄太撮影
8年前から毎年、開かれるようになった香川県の高校野球招待試合。昨年は清宮幸太郎選手がいた早稲田実業(東京)、今年は大阪桐蔭と招待校は豪華な顔ぶれだ。実は、県高校野球連盟が相手校に打診するのは開催の約2年前。なぜ毎回のように話題のチームを招けるのか。
招待試合は2010年度、県教育委員会の予算に盛り込まれた「高校野球強化事業」の一環で毎年、開けるようになった。県勢は当時、全国大会で苦戦が続き、レベルアップをめざす機運が高まっていた。
10年に招いたのは、同じ年の選抜大会で優勝した興南(沖縄)。その後も、13年の選抜で8強入りした聖光学院(福島)、14年の選抜優勝の龍谷大平安(京都)など、その年に活躍したチームが並ぶ。「香川に招待されたら良い結果が出る」との声もあるという。
14年に県高野連の理事長になった小野裕作さん(53)は「常に全国にアンテナをはり、次に来てもらいたい学校を考えている」と言う。各校の1年生の顔ぶれをチェックし、実際に練習を見に行くこともある。
昨年に招いた早実は、最後まで粘り強い姿勢にひかれ、15年夏に甲子園球場のスタンドで声をかけた。当時1年生だった清宮選手が、2年後は3年生になることも決め手になった。
大阪桐蔭は16年に招いた際、「2年後に再び来てほしい」と頼んだ。1年生だった根尾昂(あきら)投手や藤原恭大(きょうた)選手らの成長した姿を、県内の選手や野球ファンに見せたいと思った。
昨年の招待試合で早実に勝った三本松は、選手権大会で8強入り。試合で得た経験や自信を糧に、県勢も活躍するようになった。小野さんは「強豪校は技術だけでなく、試合前後の振る舞いもすばらしい。全国レベルの強さの理由を、ぜひ見てもらいたい」と話す。
これまで招待校の活躍を見事に「的中」させてきた小野さん。ずばり、7月の香川大会の優勝校を聞いてみた。「今年は混戦。本当にわかりません」(福井万穂)