21日は2試合があり、塔南と京都国際が8強に進んだ。塔南は九回に1点をとり、シードの京都翔英との投手戦を制した。京都国際は主軸が2者連続本塁打を放ち、サヨナラ勝ちを続けてきた花園に打ち勝った。22日は4回戦2試合があり、8強が出そろう。
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(21日、高校野球京都大会、塔南1―0京都翔英)
0―0。緊迫した九回表、京都翔英のエースで2年生の今井大志(たいし)君がマウンドに上がった。「必ず抑える」。先頭打者をスライダーで打ち取った。その後1点を失い、なお2死満塁のピンチ。気持ちを切り替えて右飛に打ち取った。
三つ上の兄、雄一郎さん(19)は、広島の強豪・広陵で主将だった。京都翔英に入学する前の昨年1月、今井君は母親から、兄が大学進学を諦めたことを聞かされた。プロをめざす弟のため、就職して家計を助けることを選んだ。
「なんで大学に行かへんの」。今井君は驚き、兄に電話をかけた。「もう野球はいい。自分が大学に行かなかったことは気にしないで、頑張って必ずプロになってくれ」。これが兄の返答だった。兄は今、トラック運転手として働いている。
野球を始めたのは、保育園の年長。憧れの兄の影響だった。小学生では同じ軟式チームに入り、ともに投手だった。兄はチームの主将だった。「兄はぼくと違って球が速い。リーダーシップもあり、周りに人が集まっていた」と振り返る。
中学からは別々の硬式チームにわかれた。今井君は中学3年の春にエースとして府大会で優勝し、全国大会に出場。兄は広陵に進み、3年生の夏は広島大会で4強入りした。
この日は0―1で敗れ、涙があふれた。「もともと兄と一緒にプロになるのが夢だった。来年は必ず成長した姿をお兄ちゃんに見せたい」(川村貴大)