(23日、高校野球西兵庫大会 明石商5―2洲本)
「最後まで勝てなかった」 海を渡った元チームメート
淡路島から甲子園の「夢」もう一度 うちわ握りOB声援
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「三振を取ってやる」。五回からマウンドを託された明石商の加田悠真(3年)は洲本との一戦に燃えていた。打ち取る度、何度も握り拳をつくってほえた。洲本は、主戦や主将ら先発9人中4人が自分と同じ洲本市立青雲中出身の同級生。宿命の対戦だった。
洲本との試合は「縁」だと思った。父は洲本高野球部OB。その洲本で、地元の仲間と一緒に甲子園を目指す道もあった。だが、自らの夢を実現する道筋を真剣に考えた末、島を出た。
背番号1を背負って挑んだ昨夏の兵庫大会。全試合で先発し、決勝まで上りつめたが、甲子園まであと一歩のところで涙をのんだ。だから、今大会にかける思いは人一倍だ。「いつも以上に打たれたくなかった」。気迫の投球で次々と洲本の打撃陣を打ち取った。
整列後、今も仲良しの洲本の主戦・鏡石直暉(3年)と握手した。「やっぱ強いわ。甲子園出てな」と声をかけられ、うなずいた。「絶対出ないと。あいつらに合わせる顔がない。淡路島に帰れないです」(野平悠一)